手付とは
手付とは
手付とは、売買契約・賃貸借契約・請負契約などが締結されるに際して、当事者の一方が相手方に交付する金銭等のことである。
手付には、証約手付(売買契約が成立した証拠という意味で交付される手付)、違約手付(債務不履行があったときに、違約罰として没収される趣旨で交付される手付)、解約手付(民法557条にいう手付)がある。
また、契約において特に定めがない場合には、手付は解約手付であると推定する。こととなっている。(最判昭和24.10.4)
民法(手付)
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。
その相手方が契約の履行に着手した後、この限りではない。とは、相手方が履行に着手する前であれば、自己が履行に着手していても、手付の放棄又は倍額の償還により契約を解除することができる(最大判昭和40.11.24)。
民法(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
手付は、この4項のいうところの損害賠償責任は生じな
宅建業法(手付の額の制限等)
第三十九条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
3 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
強行規定は、強制的に適用する法律の規定のことを言います。売主が宅地建物取引業者である売買契約では、契約内容の如何にかかわらず、手付は必ず解約手付の性質を与えられると規定している。これは強行規定です。
そして、この第39条は一般消費者保護の規定であるので、この制限は売主が宅地建物取引業者で、買主が宅地建物取引業者以外の者である場合にのみ適用される。
宅建業者間取引では、手付を代金の5割をもらっても宅建業法違反にはならない。